日本人は鬼を恐れ、憎み、時にその存在を受け入れてきた。鬼は関わる人々の心をかき乱し、故に引きつける。「日本書紀」から「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」まで、日本人は鬼に何を仮託してきたのか。

▼▼裂け目

 妖怪学の第一人者で著作「鬼と日本人」がある国際日本文化研究センター名誉教授小松和彦さんは「鬼は基本的に人間の否定形」と語る。「やってはいけないことをやる、裏返しの...