2020年2月のイベントで今福線のアーチ橋を歩く参加者=浜田市佐野町
2020年2月のイベントで今福線のアーチ橋を歩く参加者=浜田市佐野町

 13、14両日に浜田市内で開かれる「全国未成線サミットin浜田」を控え、地元の未成線・旧国鉄広浜鉄道今福線に光を当ててきた住民らが情報発信の好機と意を新たにする。地域の歴史資源として市民の目が向くきっかけに、と願う。

 今福線は浜田ー広島間を結ぼうと計画された。1933(昭和8)年に山陰線下府駅から石見今福駅までが着工されたが、太平洋戦争で中断。この旧線と別に戦後、浜田駅を起点とする新線として工事が再開されたが、旧国鉄の経営悪化で80年に中止された。

 浜田市内にアーチ橋や橋脚群、トンネルといった遺構が残る。2020年7月には佐野、宇津井両地区の住民がガイドの会を結成し観光客らに魅力を伝える。

 会の生みの親となった石本恒夫さん(93)=浜田市佐野町=は子どもの頃、旧線の工事を見て「山陰と山陽を結ぶ鉄道ができることに、わくわくが止まらなかった」と振り返る。

 工事中止で一時は関心が薄れたが、20年ほど前、今福線のアーチ橋が紹介された鉄道関係の書籍を見て、今福線を風化させまいと思い立ち、独学で研究。2007年ごろからは仲間とガイド活動にも乗り出した。

 「鉄道ができてほしいという住民の願いを伝えるのが未成線。その歴史を忘れないでほしい」と語る。

 ガイドの会では石本さんの指導を受けながら会員25人が活動し、初年度は5回で計約100人を案内した。拝上幸雄会長(70)=浜田市佐野町=は「遺構を見て列車が走る姿を想像でき、ロマンがある」と魅力を説く。サミット2日目の遺構巡りでもガイドを務める予定だ。

 サミットは17年に奈良県五條市、18年に福岡県赤村であり浜田大会は3回目。初日は午後0時半から石央文化ホールで全国各地の未成線に関する団体の活動報告やパネルディスカッションがある。
      (宮廻裕樹)