政府が決定した経済対策には、子育て世帯への10万円相当の給付や、観光支援事業「Go To トラベル」再開など、新型コロナウイルス禍で傷んだ家計を支援する施策が並んだ。売り上げが減少した中小企業や個人事業主は給付金を受け取ることができ、保育士や介護職らの賃金は来年2月から上がる。
子育て世帯への給付金は18歳以下の子どもがいる世帯が対象で、子ども1人当たり10万円相当を受け取れる。まず現金5万円の給付が年内に始まり、その後、来年春までに子育て関連に使える5万円相当のクーポンがもらえる。
ただ所得制限があり、夫が妻と子ども2人を扶養しているケースでは、年収が960万円未満でないともらえない。夫婦共働きの場合、収入は合算せず、原則として年収の多い方で給付対象かどうか判定する。
所得が少なく住民税が非課税となっている世帯には現金10万円が給付される。非課税となる水準は住んでいる自治体によって異なるが、例えば夫が妻と子2人を扶養する4人家族の場合、都市部では年収255万円程度が想定される。
保育士や看護職らの賃金は来年2月から3%程度(月9千円)上がる。看護師はまず1%程度(月4千円)上がり、最終的に上昇幅を3%程度に高めることを検討する。
またマイナンバーカード取得者は最大2万円分のポイントを受け取れる。カード新規取得で最大5千円分、健康保険証として利用登録すれば7500円分、公的給付金の受け取り用口座を登録すれば7500円分がもらえる。申し込み開始時期は検討中だ。
トラベル事業は新型コロナの感染状況などを確認し、来年1月下旬から2月上旬の再開を検討する。宿泊旅行の場合、旅行代金を30%分割り引く。上限は1万円。旅先の飲食や土産物購入に使える地域共通クーポン券を平日は3千円、休日は千円もらえる。事業中断前よりも割引率や上限は減額され、クーポンは週末の混雑を避けるため、平日の方が多くもらえるようにした。利用者は新型コロナワクチンの接種済証や検査の陰性証明の提示が必要となる。
コロナ禍で事業による収入が30%以上減った法人や個人事業主は、今年11月から来年3月までの5カ月分の収入減少額を一括でもらうことができる。上限は企業規模や収入の減少幅によって異なり、法人は最大250万円、個人事業主は最大50万円となる。