
ー昨年、新たに介護事業所2カ所の運営を始め、グループが運営する施設は計19事業所となりました。
出雲市内で、M&A(企業の合併・買収)を経てグループホームの運営を始めたほか、デイサービスを新設しました。さらに、松江市内で閉鎖した訪問介護事業所の事業を継承し、利用者さまと従業員もそのまま引き継ぎました。全国的に介護事業所の市場撤退が増えています。業務停止により最も影響を受けるのは行き場がなくなる利用者さまです。できる限り、従来のサービスや地域性、特徴などを生かして事業を継承し、利用者さまにも従業員にも負担がかからないよう意識しています。
同じグループの運営でサービスを画一化してしまえば、結果的に利用者さまの選択肢を減らしてしまいます。間接費などの効率化を図ることでグループの経営安定化を進めつつ、サービスの多様性は維持していく考えです。
ー従業員数は増えていますが、離職率は下がっていますね。
設立初期は多くの離職者がいましたが、年々下がり、現在は13・5%(2024年12月末時点)です。従業員が働きやすい環境を整えたことが要因の一つと考えます。出産や育児、介護に伴う休業や年次有給休暇などの法定休暇の利用には本人の申請が必要です。労務担当スタッフを中心に制度の周知や利用を促す声掛けを積極的に行いました。
賃上げにも注力しています。2024年は前年比平均4・5%、25年は同4・3%アップを実現しました。25年から、ひとり親家庭や高齢の扶養家族がいる従業員を対象とした手当制度を設けました。グループが得た利益を従業員に還元し、高いモチベーションで働き続けてもらうのが経営者の役割です。

ー今後の展望を教えてください。
早期退院の傾向が進む中、訪問看護や訪問リハビリの必要性は一層高まっています。看護師の採用に力を入れるとともに、訪問診療を担う医師と密に連携を取るなどして、訪問看護事業を強化したいと考えています。


近年では、介護ロボットの導入や普及が予想されますが、弊社では、人間にしかできないスキルを求めています。笑顔で明るい人。誰にでも丁寧な対応ができ思いやりがある人。協調性があり感謝の気持ちを伝えることができる人。向上心や意欲があり責任感がある人。素直で誠実な人。介護職はやりがいを感じる魅力的な仕事です。
白根侑哉=島根県松江市出身(41歳)2016年に現職に就任。
市内一般企業に就職したのち2009年(有)おおぞらに入社。現在は吸収合併。2011年父親とともに(株)ラッシュ設立。専務取締役に就任。これまで県内の介護事業6法人11事業所をM&Aによる吸収合併に携わる。趣味は低い山登りと晴れた日のゴルフ。
