山陰両県を襲った突然の大きな揺れに、住民らは不安げな表情を浮かべ、酒屋や陶器店では割れた商品の片付けに追われた。交通にも影響が出て、旅行客らは帰路の確保など、対応に追われた。
3カ月の娘と一緒に雲南市木次町里方の自宅にいた会社員の藤原美緒さん(37)は、すぐに娘を抱きかかえて両親と屋外へ避難した。「怖かった。しばらくドキドキした」と不安げに話した。
瓶や陶器などを扱う店舗の従業員らは、割れた商品の片付けに追われた。松江市学園1丁目の酒ゴリラ松江学園店では、複数の商品が割れ、床に瓶の破片が散乱。店内にはアルコールのにおいが充満した。福村仁志店長(61)は「強い揺れだったので慌てて店に帰ってきた。従業員が無事でよかった」と胸をなで下ろした。
出雲市今市町の陶器店「あさつ」では、陳列していた商品4~5点が棚から落ちて割れた。浅津邦喬代表取締役(40)は、余震に備えて高い棚に並べた商品を下に移す予定だとし、「この後何も起こらないことを祈るばかりだ」と述べた。
JRの駅では、JR西日本社員が利用者を駅構外に誘導した。松江市朝日町のJR松江駅では、利用者が南に約200メートル離れた中央小学校の校庭に避難した。寒空の下、駅員や駅構内の店舗従業員が避難者に水やカイロを配った。
知人の見送りで同駅に来ていた島根大3年の山田航士さん(21)=雲南市大東町清田=は、構内の喫茶店で机の下に入って揺れが収まるのを待ったという。「こんな大きな揺れは感じたことがない」と驚いた様子で、高速バスに乗る予定だった知人はとりやめたという。
米子市弥生町のJR米子駅では利用客が駅前広場に避難。入り口は封鎖された。大阪府豊中市から家族4人で旅行に訪れ、帰ろうとしていた会社員の引野大地さん(33)は「特急やくもが止まり、帰れない。なんとか岡山まで戻りたいが、バス会社に連絡がつかない」と途方に暮れていた。
倉吉市内の高校を受験しに母と2人で訪れていた東京都多摩市の中学3年生、小島未来さん(15)は「土地勘がないので怖かった」と話した。7日に予定している入試の予定も不透明で、「いろいろな意味で不安だ」と表情を曇らせた。
(取材班)
鳥取大工学部、香川敬生教授の話(鳥取県対策本部会議での発言)
鳥取県西部地震はM7・3だった。その規模の地震がもう1回起きることは考えにくいが、6クラスは再び起きる可能性があり、今回起きたのではないか。6クラスはどこでも起こると考え、備えてほしい。
■島根、鳥取両県で地震に遭った人のコメント
<島根>
松江市立城西幼保園の松本和美園長(58)
地震発生当時は園内に0~5歳の139人がいた。クラスごとに机の下に避難したり、ロッカーに頭を入れたりして屋内で対応した。けが人はなかった。下からドンと突き上げる揺れだったが、さほど大きな揺れは感じなかった。(子どもたちは)騒ぐことなく担任の指示に従い、保護者の迎えを待つことができた。また揺れがあるかもしれないので、子どもたちの安全を一番に考えながら迎えを待つ。
城西幼保園に迎えに来た保護者 福田真裕美さん(37)=松江市古志町
地震発生当時、北陵町の職場で働いていた。職場で避難している時に迎えの要請があった。娘に会えてほっとした。5歳の娘はこんなに大きな揺れは初めてなので、動揺していないか心配だ。(帰宅後は)地震に警戒しながら過ごす。
横浜市から妻と松江を訪れた公務員桜井俊明さん(45)
2泊3日の旅行に来ていて、JR松江駅でお土産を買い、天気がいいので堀川遊覧船でも乗ろうかと話していたところだった。迅速に誘導してもらったおかげで近くの小学校に避難でき安心した。午後の予定は全てやめて、早めにバスで米子空港に向かい、情報収集したい。
いない三刀屋店従業員 藤原康真さん(60)=雲南市木次町下熊谷
地震発生時にはレジにいた。強い揺れの時はレジ台に手をつきつつ、お客さんの避難誘導に努めた。揺れが収まった後、確認すると洗剤が棚から落ちていたが、数分で復帰した。ここ数年、体験したことない揺れで怖い思いをしたが、お客さま、従業員に被害がなくてよかった。
<鳥取>
境港市立境小学校、高浜禎彦校長(59)
地震発生時、境港市内の小中学校長が集まる会議に出席していた。会合は中止となり、各校長が学校へ急行した。玄関を含む校舎の窓ガラスが少なくとも15枚は割れ、玄関の水槽の水がこぼれるなどした。地震の影響と思われる床のひびの広がりもある。保護者に緊急メールを送り、児童の安否を確認した。今後時間の経過につれて、いろいろと被害が見つかると思う。
日野ボランティア・ネットワーク代表・山下弘彦さん
地鳴りがして「ドン」と音がした。揺れは長く、だんだん強くなった。緊急地震速報のアラームも何回も鳴って恐怖を感じた。25年前の鳥取県西部地震は横揺れでものがたくさん落ちたが、今回の地震は縦揺れだった。ネットワークの人たちに安否確認をしてもらっている。揺れが収まるといいが、寒い時季でこれから夜を迎えるので不安だ。
黒坂では、25年前を教訓に自主的に公民館に避難している人がいると聞いた。すぐに動けるように心構えをして、家でお風呂やトイレを使うときは少し扉を開けておいたり、枕元に懐中電灯を置くなどしてほしい。
















