2021年度の島根県内へのU・Iターン者数が減少し、地方回帰の流れが鈍化している。4~9月の上半期の合計は1539人で前年度同期比62人の減少。新型コロナウイルスの流行「第4波」や「第5波」に重なった時期で、人の移動が抑制されたのが影響したとみられ、感染が落ち着いた下半期の反転攻勢が求められる。
県が毎月発表する推計人口によると、4~9月の半年間のUターン者数は前年同期比42人減の903人、Iターン者数は6人減の628人、UターンかIターンか分からない不明者は14人減の8人だった。
速報値のため年代別や移住元の都道府県など詳細分析はこれからだが、月別でみると、前年実績を上回ったのは5月のみ。第4波真っただ中だった4月は54人減、島根県など全国的に感染者数が大幅増となった8月は52人減で、20年9月から7カ月連続の前年実績超えだった移住の流れが一転、減速した。
21年度上半期の大半で緊急事態宣言が出ており、県は都道府県をまたぐ移動の自粛要請などが響いたとみる。東京都に県が設ける相談拠点の日比谷しまね館もこの間、相談員の在宅勤務で対応がリモートに限られるなど、体制を縮小したことも影響した。
県が10月に開いた移住を促すオンラインイベント「しまね移住ワンダーランド」は、前年同期比162人増の1038人が参加。感染が落ち着き、今後は回復基調になる可能性がある一方、ワクチン接種の進展などで都市部が日常の生活を取り戻すと、地方移住の動きが減速する可能性もある。
しまね暮らし推進課の勝部考子課長は「地方回帰の流れが続くかどうか、過渡期にある。感染が落ち着いたタイミングをつかんで、相談者の来県や体験の機会を増やし、着実に移住につなげたい」と話した。
(原田准吏)