オミクロン株感染者が確認された主な国・地域
オミクロン株感染者が確認された主な国・地域

 新型コロナウイルスの新変異株、オミクロン株が世界で猛威を振るい、主流化が急速に進んでいる。最初に報告した南アフリカでは既にデルタ株から置き換わり、欧米諸国でも市中感染が加速する。2日間で新規感染者が倍増するとされ、感染力の強さが際立つ。世界保健機関(WHO)によると、89カ国・地域に拡大した。各国はワクチンの追加接種が有効とみて対応を急いでいる。

 厚生労働省によると、日本では18日時点で65人のオミクロン株感染が確認された。海外からの入国者や濃厚接触者にとどまるが、市中で広がった場合、感染者を早期に発見できる検査体制が求められそうだ。

 英国ではオミクロン株の1日当たりの新規感染者が18日に1万人を超えた。累計は2万4968人。イングランドでの新規感染の遺伝子分析でオミクロン株の特徴があるケースが6割を超え、ロンドンでは8割以上に。ジョンソン首相は12日、追加接種を年内に18歳以上の全ての対象者に提供するとの目標を示し、「来年1月末まで」から前倒しした。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、18日時点で、市中感染が起きた25カ国・地域のうち欧州諸国が半分近くを占める。ノルウェーでは感染者が急増し、飲食店での酒類提供を禁止するなど規制強化を決めた。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は「来月半ばまでにオミクロン株が主流になる」と強調した。

 米国では全50州のうち44州で確認された。米疾病対策センター(CDC)のワレンスキ所長は「初期データによると、約2日間で新規感染者数が倍増する」と指摘。ファウチ米国立アレルギー感染症研究所長は「近々米国でも優勢になる。ワクチンの追加接種が効果的だ」と訴えた。

 南アでは、12月に入ってデルタ株からほぼ完全に置き換わったとみられ、10日までにゲノム解析された61人は全てオミクロン株だった。

 WHOのテドロス事務局長は14日、オミクロン株が重症化しにくいとの楽観論に懸念を示し「感染者が増えれば再び医療体制を圧迫する可能性がある」と警告した。