年の瀬も迫った日。前夜から降り積もった雪で、その朝は、銀世界となっていました。その中を莞蕾(かんらい)の油彩の作品は、美術輸送のトラックに積まれ、美術館を出発していきました。「行ってらっしゃい」と、その車を見送る私はこみ上げる感慨の思いで胸がいっぱいでした。他の美術館で加...