中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)を巡り、立地自治体の松江市の上定昭仁市長が、再稼働に同意する方針を固めたことが10日、分かった。電力の安定供給や気候変動問題の解決などに向け、容認すべきだと判断したとみられる。近く市議会で表明する見通し。原発30キロ圏に位置する2県6市の首長で再稼働を認めるかどうかの態度を明らかにするのは初めてとなる。 (片山大輔)
2号機は昨年9月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。上定市長は安全協定に基づき、中電から再稼働の事前了解(同意)の申し入れを受けていた。
その後、市は市原子力発電所環境安全対策協議会や住民説明会を開催。市議会が昨年12月に早期再稼働を求める陳情を賛成多数で採択し、事実上、容認したことも判断材料となった。
現行の安全協定に基づくと、再稼働の可否を判断できる「事前了解」(同意)の権限を持つのは立地自治体の島根県と松江市のみ。島根県の丸山達也知事は、県議会や周辺自治体の出雲、安来、雲南、米子、境港の5市、鳥取県の意見が出そろった後に判断する考えで、時期は早くとも3月下旬以降になるとみられる。
昨年4月に就任した上定市長は、立候補の表明当初から原発活用に理解を示す発言を繰り返してきた。昨年9月以降は、原子力規制庁や経済産業省資源エネルギー庁、内閣府などから▽2号機の安全対策▽再稼働の必要性▽事故時の避難計画-の説明を受け、今月に入ってからは原子力防災訓練や萩生田光一経産相とのオンライン会談などを実施。10日には中電から不祥事の再発防止の取り組みに関する報告も受けた。
市議会は15日の本会議で再稼働の是非を問う住民投票条例案の採決を予定し、その後の全員協議会で会派ごとに再稼働を認めるか否かの意見を表明する。