【浜田】浜田市出身の日本画家、故・石本正さんの生誕100年回顧展が22日に石正美術館(島根県浜田市三隅町古市場)で開幕する。人気を博した舞妓(まいこ)や裸婦画、石本氏が住んだ京都の風景画など80点を並べ、画業の変遷をたどる。6月12日まで。
19日に報道関係者向けの内覧会があった。横山由美子主任学芸員が、文豪・川端康成との交流が縁となった「二人の踊子」や、柔肌と物憂げな表情が印象的な舞妓など、よく知られる画風が表れた絵のほか、初期や晩年の名作を紹介した。
江戸時代の絵師・伊藤若冲に触発され21歳の時に描いた軍鶏(しゃも)の絵は躍動的。30歳の頃の「五条坂風景」は京都の町並みを素朴な面、線と落ち着いた青いトーンで仕上げた。画壇の評価は良くなかったが、気に入っていたという。80歳以降の作品は植物の絵が見どころで、鮮やかな花と枯れた葉との取り合わせで時の流れや人生観を表現する。
回顧展は新型コロナウイルス禍で開催が遅れたものの、島根県立美術館(松江市)や県外2カ所の美術館を巡回。作品を収蔵する石正美術館で最後となる。横山主任学芸員は「コロナ禍に振り回されたが、やっと地元で開けるので改めて石本作品の魅力を伝えたい」と話した。 (板垣敏郎)