鳥取大医学部付属病院(米子市西町)が4月、山陰両県のアスリートのスポーツ障害に迅速に対応し、競技力向上も促す「スポーツ医科学センター」を開設する。整形外科を中心に9診療科8部門の専門医ら約25人でサポートチームを編成。強い腫れを生じる外傷や極度の疲労に有効な高気圧酸素治療などを提供し、早期復帰を促す。
原田省病院長が7日の懇談会で「アスリートをチーム医療で支援する施設にしたい」と述べた。
山陰初となるセンターは鳥取、島根両県のプロ選手や社会人、中学・高校生アスリートのほか、子どもから成人まで幅広い年代のスポーツ障害や関連疾患に対応。高気圧酸素治療や野球肘などに適用される再生医療のPRP(多血小板血漿(けっしょう))治療、体のダメージが少ない低侵襲手術を提供し、早期復帰を後押しする。
メンタル面でも、ストレスやトレーニングの蓄積から拒食症や無月経などに悩む女性アスリートらの心と体をサポート。ベストの状態で競技に挑めるよう支える。
スポーツ診療体制の強化を目的に、両県の複数の医療機関とネットワークも構築。現場の選手やトレーナー、指導者とリモートで結び、質の高い医療サポートを提供するという。
センターは鳥取大病院の外来棟1階の一角に開設。4月4日に運用を始め、外来には整形外科医2人を含む4人が専属で詰める。
スポーツ医科学センター長に就いた整形外科の榎田誠准教授は「多診療科多部門の医療スタッフが関わるセンターは全国的にもまれ。地元アスリートをしっかりサポートするモデルケースにし、得た知見を高齢者やジュニア、障害者に広めたい」と話した。
(山根行雄)