ウクライナ国民に穏やかな朝が来ることを願い、鐘をたたく僧侶=安来市広瀬町広瀬、洞光寺
ウクライナ国民に穏やかな朝が来ることを願い、鐘をたたく僧侶=安来市広瀬町広瀬、洞光寺

 民間人の犠牲者が多数出ているロシアのウクライナ侵攻を受け、島根県仏教会(清水谷善圭会長、約1100カ寺)が、苦しみや哀しみに寄り添う「平和の鐘運動」を始めた。ウクライナに一日でも早く穏やかな朝が来ることを願い、鐘の音を鳴らし続ける。

 県仏教会は、天台宗や真言宗、浄土真宗といった県内の22宗派や県内13市町村仏教会の計35団体が加盟。昨秋には全日本仏教徒会議を主催し、異文化理解や世界平和などを掲げた。

 運動は、可能な範囲で毎日午後2時(現地時間の午前7時)を目安に各寺院の釣り鐘などを鳴らす。平時と異なる時間に鐘を鳴らすことで、地域住民の関心も引きたい考え。8日までに加盟する寺院や団体に運動の案内文を送った。

 発起人の1人の柳楽一学副会長(67)は「世界中の人が『おかしい』と言わなければ変わらない。日本でもこうした運動があることをウクライナとロシア国内に伝えたい」と話す。

 歴史をひもとけば、ベトナム戦争のように、民衆の声が大きな世論となり、戦争を止める力になった例がある。清水谷会長(74)は「一人一人の祈りの力は小さいかもしれないが、広がれば最後は不条理な暴力を和らげ、跳ね返す力になる」と強調し、賛同の広がりを願った。
      (多賀芳文)