◆短歌 西 基宜選

長押(なげし)より見守る父は星一つ今も母との戦後終はらず        出 雲 行長 好友

  【評】戦死されたのだろう。長押の上に軍服姿の父君の写真。母の手一つで戦後混沌(こんとん) の世を凌(しの)がれたであろう作者。母の細やかな愛情あったればこそと思うにつけても、帰 らぬ父を慕った思春期は、消そうに消せない悲劇の戦後なのです。

古希の河渡ったろうかみいちゃんも遠き日懐かしはないちもんめ  浜 田 木村 孝夫

  【評】今は昔、校庭で、家の庭で、女の子に交じって歌うように声を合わせた「はな いちもんめ」。...