全国放映が始まった大手ビール会社のテレビCMで、プロ野球や米大リーグで活躍したイチローさんが出雲ドーム(出雲市矢野町)でプレーする姿が描かれている。妻の弓子さんが松江市出身で、過去には「島根」と書かれたTシャツを着用したこともあるスターが、ゆかりの地で新たな話題を呼んでいる。 (松本直也)
CMは「アサヒスーパードライ」の初リニューアルで制作され、4日に全国放映が始まった。イチローさんが「今が一番野球が好きなんですよね」と語りながら、社会人野球部のメンバーと練習し、自らが結成した草野球チームの仲間とプレーする。
出雲ドームは、草野球チーム「KOBE CHIBEN」のユニホームを着て円陣を組み「さあ行こう」と声を出し、マウンドで投球するシーンなどで登場する。見る人が見れば分かる程度だが、ウェブ上のメーキング動画は、見慣れたドーム周辺でボールを打つ様子やドーム内でのインタビューが収録され、はっきりと認識することができる。
同社によると、イチローさんが真剣に仲間と野球を楽しむ様子を撮りたいと、天候に左右されない出雲ドームを選んだ。2月上旬にあったロケは草野球チームのメンバーも県外から出雲に集結し、ビールを飲むシーンは松江市で撮影した。アサヒビール宣伝部の佐藤猛博次長は「予想以上の映像が撮れて良かった」と満足する。
撮影は極秘裏に進められ、出雲ドームを管理するNPO法人出雲スポーツ振興21にも「ビールのCM撮影で有名人が来る」という事前情報しか入らず、当日になってイチローさんであることが分かった。放映まではかん口令が敷かれ、関係者は言いたい気持ちをぐっとこらえていたという。
CM放映後は「出雲ドームでは?」などのツイートが拡散されている。NPO法人の事務所にも問い合わせがあり、グループリーダーの内田剛さんは「世界的プレーヤーが来たことは光栄なこと。ドームに足を運んでもらうきっかけになればうれしい」と喜んだ。