通し稽古に熱がこもる雲南市民演劇公演の出演者=雲南市木次町里方
通し稽古に熱がこもる雲南市民演劇公演の出演者=雲南市木次町里方

 JR木次線をテーマにした雲南市民演劇の公演が29、30の両日、島根県同市木次町里方のチェリヴァホールである。沿線の利用者などから募ったエピソードを盛り込んだオリジナルの脚本を基に、高校生から60代までが出演。JR西日本から赤字路線として公表され、路線存続へ厳しい実態を突きつけられる中、少しでも利用につなげようと熱気のこもった稽古を重ねている。

 雲南市演劇によるまちづくりプロジェクト実行委員会(吾郷康子委員長)が主催。演目は、かつて木次線を走っていた蒸気機関車「C56」にちなみ「鉄人56号」とした。

 県内外から118点寄せられたエピソードをちりばめた物語は、現代に生きる女性「令和」と男性車掌を主人公とし、令和が乗り込んだ車両の乗客は、大正から平成までそれぞれの時代に生きた「思い出」たちという設定。木次線の前身の私設鉄道・簸上鉄道の開設工事が始まった当時から、現代までの木次線にまつわる話を通じて路線の在り方や将来像を問う。

 17日夜、チェリヴァホールであった通し稽古では本番用のセットが組まれ、21人が照明や音響とともに細かい動きを確認。令和役の勝部瑞穂さん(16)=三刀屋高校2年=は「木次線は厳しい状況と聞いている。どういう風に感じるかはそれぞれだが、利用のきっかけになればいい」と共演者と呼吸を合わせた。

 開演は29日午後6時と30日午後1時半。定員各200人、全席指定で、一般2千円(当日2500円)、高校生以下千円(同1500円)。問い合わせはチェリヴァホール、電話0854(42)1155。

 (狩野樹理)