かねて島根県内の医療関係者が警戒していた離島の隠岐で、初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された。ただ県は関連を追うことができており、感染した海士町在住3人の接触者に当たる計400人へのPCR検査で、拡大阻止に全力で当たる。
人口約2200人の海士町では、島内放送で感染者発生が伝わった。屋外スピーカーから聞いた60代女性は「自分も感染していないか、1日でも早くPCR検査を受けたい」と話した。
万が一感染が広がれば島前3町村の救急医療を担う島前病院(島根県西ノ島町美田)の医療提供体制そのものに影響が出る恐れもある。患者の本土搬送などが現実味を帯びるが、知夫村の平木伴佳村長が「船にしろ、ヘリコプターにしろ天候が悪い時や大人数の発生があった時の対応をどうするのかが見えていない」と話すように、最悪のケースへの対応に課題を残している。
本土側で始まった65歳以上の高齢者のワクチン接種は、島前3町村のうち西ノ島町で始まったものの、知夫村は16歳以上64歳以下も含めて25日、海士町は5月下旬と時間差がある。
だからこそ、今はできる防御策を行うしかないと関係者は身構える。
内航船を通じて海士町との往来が盛んな西ノ島町や知夫村は、通勤や通院などを除く不要不急の渡航を控えるよう、それぞれの住民に要請。隠岐広域連合長を務める池田高世偉・隠岐の島町長は「今までやってきた感染対策を、徹底してやっていくしかない」と強調した。
(森山郷雄)