ランディ・ヴァンウォーマーのアルバム「アメリカン・モーニング」。秀逸なタイトル曲は2曲目に収録
ランディ・ヴァンウォーマーのアルバム「アメリカン・モーニング」。秀逸なタイトル曲は2曲目に収録

 「アメリカン・モーニング」(1979年)は米国のシンガー・ソングライター、ランディ・ヴァンウォーマーのバラード。心地よいメロディーに優しい歌声が乗り、日本でもヒットした。初めて聞いたのは中学生の頃だった。「アメリカの朝」を意味するタイトルと曲の雰囲気から、朝を迎えた恋人同士が陽光の注ぐ部屋でまどろむ…。そんな未知なる幸せの光景を想像したものだが、実は失恋の歌だと後に知って驚いた。

 原題はJust When I Needed You Most。「僕が君を最も必要としていたちょうどその時」くらいの意味。このフレーズはさびで歌われるが、その前にYou left meがつく。つまり「最も必要としていた時に君は僕の元を去ってしまった」ことを歌う。過去を引きずる男の歌である。歌詞に「アメリカン」はないが、中学生でも聞き取れた「モーニング」は、彼女が朝、荷物をまとめたというくだり。そっちのモーニングだったのか…。

 思春期の妄想をかき立てた、罪な邦題である。恋人同士の朝のまどろみのBGMにはされませんように。 (洋)

 =Sデジにロングバージョン
 → https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/256477