グループになり、声の掛け方を学ぶ生徒たち=出雲市下古志町、出雲西高校
グループになり、声の掛け方を学ぶ生徒たち=出雲市下古志町、出雲西高校

 大人に代わり家事や家族の世話をするヤングケアラーへの関心が高まる中、出雲西高校(出雲市下古志町)が、生徒の理解を深める授業を始めた。経験者を招き、ヤングケアラーとは何か、身近にいたらどう接するかなどを知り、当事者のSOSを受け止め、寄り添う大切さを学んでいる。

 「私が家族の面倒を見るのが当たり前だと思い、相談したらいけないと思い込んでいた。でも、誰かに相談してもいいんだよ」

 10日、同校の教室で普通科介護福祉コース2年の生徒38人を前に、講師の井上恵理子さん(40)=出雲市在住=が語り掛けた。小学生時代にヤングケアラーだった経験を持つ。

 生徒は5、6人のグループになって自身が当事者になった場合、何に困っているのかを考えて人に伝える大切さを学び、友人が当事者ならどんな声をかけるかも話し合った。井上さんは「当事者がしんどい状態だと何も受け入れられない時があるけど、話せるタイミングはある」と気にかけ続けることを勧めた。

 授業で同世代の問題だと知った月森梨央さん(17)は「周りに当事者がいたら自分も声をかけ、できることを考えたい」と人ごとではないことを認識した。

 授業は同校が2022年度から保育福祉、介護福祉コースの生徒を対象に開始。事前調査では生徒の5割がヤングケアラーを知らず、2割が若い人を介護する人だと勘違いし、現状はまだ浸透していない。

 ヤングケアラーは、過度な負担を続け、心身の成長に悪影響を受けるケースがある。ただ、当事者が家族の世話をするのが普通だと思い込んだり、家の状況を口外しづらい家庭もあったりし、周囲がSOSをキャッチしにくい。

 同校によると、授業で生徒自身が当事者であることや、身近な友人が当事者だと気付くケースもあるといい、問題解決のきっかけにもなる。今後は授業を受ける対象外の生徒や教員に啓発する考えもあり、同校の新田篤生教諭は「本人だけでなく、支え合いと協力で問題を解決できる。多くの人がヤングケアラーを理解することが突破口になる」と話した。
      (松本直也)