■短歌 寺井 淳選

新学期となりても客は姉妹のみ小さき里にスクールバス着く    松 江 小川 隆敏

 【評】〈過疎〉という言葉でくくると見えなくなるさまさまを、目に見えるかたちにできることが歌の一つの働き。新学期という一語によって印象がますます深い。

少女期の記憶の中に最後まで飛べず居残る飛び箱の前       益 田 能美 紀子

 【評】懐かしさの感情が人を満たすのは、それが甘く包んでくれるからだけではない。遠い記憶は夢と同じように心を動かすと、改めて思わせる。

一昨年のキーウのま...