公演前に練習に励むロルデスさん
公演前に練習に励むロルデスさん

 リボンアクロバットの優美なパフォーマンスに合わせ、バイオリンの上品で伸びのある音色がテント内に響き渡る。奏でるロルデスさん(23)はキューバ出身。前職は、母国でオーケストラの団員だった。

 クラリネット奏者の姉の影響で、6歳からバイオリンを始めた。毎日のように続けた練習で腕を磨き、念願のオーケストラ奏者になったが「国外で活躍するチャンスをつかみたい」と決意。今年1月にサーカスに入団した。サーカスでの日々は「全てが新鮮で楽しい」と言い、持ち前の音感で独自に編曲した音楽を公演で奏でている。

 コミカルなクラウンとのかけあいも重要な仕事。観客に楽しんでもらうために、公演中は何度も練習して本番に臨む。ステージ上でより「映える」ため、美しい姿勢づくりへ筋力トレーニングにも取り組んでいる。

 遠い異国で活動する日々で「姉や家族と離れるのは少し寂しい」と話すが、それでも前を向かせてくれるのは大きな歓声だ。「一番うれしいのはお客さんが喜んでくれた時」。松江公演でも、爽やかで芯のある音色が観客席を包み、多くの人を笑顔にしている。             (堀尾珠里花)

※ ※ ※ 松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地の特設大テントで開催中のポップサーカスの松江公演(山陰中央新報社、TSKさんいん中央テレビ主催)。磨き抜かれた技を披露し、観客を魅了するパフォーマーたちの素顔を紹介する。