鳥取県内で2021年に入り、山岳遭難が急増している。登山者数以上の増え方で、新型コロナウイルス禍での自粛疲れの気晴らしに、慣れない登山をする人が増えた可能性がある。夏山登山シーズンになり、関係者が注意を呼び掛ける。 (柴田広大)
県警によると、県内の山岳遭難は2020年までの5年間、22~26件で推移。ところが21年に入り、1~5月だけで13件に上っており、20年同期(3件)の4倍以上に急増し、19年同期(9件)と比べても多い。
登山者が増えて押し上げたのか。13件中6件の遭難現場となった大山の登山者数は大山町によると、近年減少。21年は3月までで2954人と前年同期の1・2倍に持ち直した。次いで遭難が4件と多い氷ノ山は若桜町観光協会の比較データがある2月に限ると前年同月の3倍の1081人。
それにしても、遭難件数の増え方は大きい。
県警地域課の山根利之次席は「新型コロナの影響で外出に制約がある中、『屋外でかつ登山なら大丈夫』と思う傾向が増えているのではないか」と分析する。
実際、3月に氷ノ山で10代男性2人組が下山できなくなり119番。登山届を出していなかった。5月には携帯電話を持たず大山に山菜採りに入った70代女性が一時行方不明になった。
万が一に備え、県警は現地はもとより、インターネット経由で登山届が出せるサイトを設け、届け出を促す。1日には大山で、負傷した遭難者の搬送訓練を消防などと行った。県警地域課の東川貴彦課長補佐は「道に迷ったら引き返すことも考え、携帯電話といった通信手段を必ず持参してほしい」と呼び掛ける。