オアシスかブラーか-。1990年代半ば、洋楽好きの友人たちの間で、この2大英国バンドのどちらを推すかでもめた。フレッドペリーのポロシャツやアディダスのジャージーを品良く着るのがブラー派で、フーリガン風なのがオアシス派。今でも、それっぽい服装の人を見ると、どちら派ですかと、聞きたくなる。
ブラーはバンド名を冠した5作目「ブラー」(97年)で作風が変わった。当時はオアシスの「モーニング・グローリー」(95年)が大ヒット。ブラーの前作は振るわず、ライバルと差が開いた失意の中で生まれたアルバムだった。
1曲目「ビートルバム」は、くず野郎という意味で、メロディーこそ甘いがやさぐれていた。ブリット・ポップから離れ、ニルヴァーナやペイブメントのようなオルタナ寄りの曲が増えた。ただ振り切れず、ポップさやシニカルさがにじむところが「ああブラーだな」と好ましかった。


フロントマンのデーモン・アルバーンは98年に覆面バンド「ゴリラズ」を結成し、表現の幅を広げた。ヒップホップなどさまざまな音楽を吸収し、変化をいとわない姿勢は、王道を最後まで選んだオアシスとは対照的だ。オアシスは解散したが、ブラーは紆余(うよ)曲折ありながらも息長く続いている。7月にはニューアルバムが出た。(銭)