第三章 宝船(二十六)

「この世のなごり、世もなごり」

 桃之介がしっとりとした声(こわ)音(ね)で語り出し、小屋の中がざわついた。「何だ、これ」

 首を捻(ひね)っている。隣の久太郎と手...