第三章 宝船(四十四)

「兄さん、いい根(ね)付(つけ)があるよ。三つまとめて五千文」

 品物にちょっと目をやれば、寅蔵にもすかさず声がかかる。

「たまには女房(かみ)さんに簪(かんざし)を...