第四章 大冴え(十一) 「水を汲(く)んでこい」  足を洗うらしい。命じた親分の声は疲れている。寅蔵はひとまず井(い)戸(ど)傍(ばた)に出て桶(おけ)に水を汲み、そうそう、と思いついて己...