高齢者施設での新型コロナPCR検査を巡る動き
高齢者施設での新型コロナPCR検査を巡る動き

 新型コロナウイルス感染防止策として菅義偉首相が打ち出した高齢者施設で働く職員らへの集中的なPCR検査で、4月以降に検査を受けた施設が約半数にとどまっていることが20日、厚生労働省の調査で分かった。4割は申し込みすらしていなかった。陽性者判明で運営に支障が出ると懸念し、検査を避ける施設があるとみられる。対策が現場の実情を反映せず、機能していない実態が浮かび上がった。

 首相は3月、高齢者施設でクラスター(感染者集団)発生が相次いだことから「3月末までに3万カ所実施」を宣言し、「4月以降も集中的、定期的に検査する」と表明していた。

 共同通信の調査では、昨年1月以降、高齢者施設で感染した入所者は累計9490人、うち486人が死亡したことが判明している。ワクチンの2回接種を終えた人は約3%止まりで、厚労省は検査後のサポート体制の徹底を自治体に求め、検査率向上を目指す考えだ。

 厚労省が、東京都や札幌市など、報告のあった68自治体が策定した検査計画に基づき、6月2日時点の状況をまとめた。

 検査対象は障害者施設なども含めた計7万6656カ所。このうち検査を受けた施設は延べ4万2136カ所で約55%。一つの施設が複数回受ける例も含まれる。検査を申し込んだのは延べ4万7426カ所。島根県内は10カ所、鳥取県内は2カ所だった。

 厚労省は感染拡大を受け、2月に緊急事態宣言下の10都府県に対し集中検査を実施するよう要請。その後、対象地域を広げ、4~6月実施分の検査計画策定を求めていた。検査対象や検査頻度は自治体によって異なり、検査頻度は「2週間に1回程度以上」が最多。

 検査費用は基本無料。それでも申し込みが伸びない背景には、陽性判明を恐れる施設の「検査控え」があるとみられる。

 厚労省の担当者は「自治体が検査の意義をしっかり伝え、陽性者が出た時の支援策を行うことが大切だ」としている。