松江市役所本庁舎(松江市末次町)の建て替え事業に関する住民投票条例の制定を直接請求した市民団体が12日、行政の手続き後に直接請求するのは「権利の乱用」と述べた松浦正敬市長に、発言の撤回を求める声明を発表した。地方自治法に請求時期の定めはなく、団体は「権力のおごりだ」と強く非難している。

 条例案は9日に市議会で否決された。

 松浦市長は市民団体が2日に市議会本会議で意見陳述した後、記者団に「直接請求の権利はあるが、行使するタイミングがあると思う。いろんな手続きが終わってから出されるのはある意味で権利の乱用と言ってもいい」と発言した。

 地方自治法は12条と74条で条例制定の直接請求権を規定している。直接請求を住民の基本権として認め、請求時期に定めはない。

 市民団体「松江市民のための新庁舎建設を求める会」(代表・片岡佳美島根大法文学部教授)は声明文で「市民に『今は直接請求をしてはいけない』と言うことこそ、首長の権力の乱用ではないか。まさに権力のおごりだ」と批判。記者会見で片岡代表は「市民を大切にしていないことの表れだ」と憤った。

 一方、松浦市長は山陰中央新報社の取材に対し「間違ったことを言ったとの認識はない。なぜ、これまで声を上げてこなかったのか(市民団体は)はっきりさせていない」と述べ、撤回しない考えを強調した。

 市民団体はこのほか声明で、請求者に質疑ができる参考人招致ではなく意見陳述にとどめた市議会に「不信感が残る」と記載。市や市議会が市民アンケートなどで新庁舎建設に関する民意を検証すべきとした。

 今後、市長や市議に面会を求め、市政の在り方を考える11月3日の市民集会の開催後に解散する。