子どもを交え来場者と談笑する太田茉奈美さん(左端)と中村和恵主事(左から2人目)=島根県津和野町後田、津和野町民センター
子どもを交え来場者と談笑する太田茉奈美さん(左端)と中村和恵主事(左から2人目)=島根県津和野町後田、津和野町民センター

 島根県津和野町で、育児などの日常生活の相談ができ、地元の農家が作る野菜や加工品が手に入る「まちの保健室」が月1回開かれている。町から委託を受けている生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)と公民館主事の女性2人が、それぞれあったらいいと思う場を協力し合ってつくり、幅広い世代が交流している。 

 「まちの保健室」を企画したのは、地域を回って高齢者らと話し、暮らしやすい環境づくりに取り組む生活支援コーディネーターの太田茉奈美さん(38)と、津和野公民館主事の中村和恵さん(41)。

 太田さんは、町に赴任していた地域おこし協力隊員が3年前につくり、離任とともになくなった日常生活の相談コーナーの復活を望んでいた。また中村主事は、公民館がある地区の商店が数年前に閉店し、買い物に困っている高齢者の支えになりたいと考えていた。

 顔見知りだった2人の思いが一致し、町民が気軽に立ち寄り、スマホの操作や健康の悩み、育児のアドバイスといった幅広い相談事ができると同時に、新鮮な野菜などが買える場を、公民館がある津和野町後田の津和野町民センターに設けることにした。

 2回目の開催だった18日は、近隣の農家らが売りに出した大根などを買い求めた人が、ロビーの一角でお茶を飲みながら太田さんたちと会話を楽しんだ。センターであった公民館活動のついでに立ち寄った近くの益井活子さん(73)は「買い物だけでなく相談や話をすることもでき、ありがたい」と話した。

 太田さんは「暮らしの延長に『保健室』が存在して多世代の交流の場になっていけばうれしい」とし、中村さんも「『こんなのがあったらうれしい』という声を取り入れながら、多方面の人と連携して続けていきたい」と手応えを感じた様子だった。

 開催は毎月第3木曜日で次回は2月15日の予定。(藤本ちあき)