第六章 来去来(六十六)

 松仙堂の主家である龍仙堂は店をとうに建て直して商いを始めたと耳にしたが、初春の売り立て会は開かれぬままだ。あの乱ののち、奉行所と大商人も交(こう)誼(ぎ)がしにくくなって...