雲南市立西小学校で育つコウノトリ=同市大東町仁和寺
雲南市立西小学校で育つコウノトリ=同市大東町仁和寺

 国の特別天然記念物・コウノトリとトキが共生する地域の実現を目指し、雲南、出雲両市など官民30団体でつくる「出雲・雲南地域広域連携生態系ネットワーク推進協議会」が、活動計画を策定した。餌場となる水辺の生き物調査や水田への水路づくりを進め、多様な生物が生息できる環境を広域的に整える。
 「出雲・雲南地域生物多様性連携保全活動計画」(2021~25年度)では、水はけをよくするため水田内に水をためる土水路の整備や、耕作放棄地のビオトープ(生き物の生息場所)への転換を広く呼び掛ける。年間を通して水をためることで餌場を確保する。
 個人所有の水田にペットボトルを改良した簡易わなを仕掛け、ドジョウの生育状況を確認するほか、子どもが参加する生き物調査など、市民を巻き込んだ自然環境の把握も盛り込んだ。
 生き物を育む活動への参加や、関連イベントの企画運営といった体験型の交流も目指す。
 雲南市ではコウノトリのひなが5年連続で誕生。トキを飼育繁殖する出雲市は、環境省が佐渡市のみで認めていた放鳥を2026年度以降、他地域でも認める「トキ保護増殖事業計画」の見直しに合わせ、野外放鳥できる態勢を30年までに整える予定となっている。
(狩野樹理)