世界的な半導体不足によるマツダの減産が、部品を供給する島根県内の下請け工場の操業に影響している。マツダ防府第1工場(山口県防府市)は5日から計10日間の稼働停止に入った。一部の下請けはあおりを受けて受注が減少しており、半導体不足の影響長期化で減産の拡大を懸念する声も上がる。(取材班)
自動車の燃料ホースの締め付け用金具「ホースクランプ」を生産する協栄ファスナー工業(雲南市掛合町掛合)は、マツダ向けが5割を占める。
4月以降、半導体不足を受けた自動車メーカー減産の影響が出始め、5月の売り上げはコロナ前の一昨年比で6割の水準まで落ち込んだ。6月は持ち直しつつあったが、防府第1工場の稼働停止により7月は再び減少する見通し。
松本悠社長(38)は、9月ごろとされる半導体不足の解消を見据え「影響はあくまで一時的なもの」と捉える。雇用調整助成金を活用してしのぎながら、街路樹と添え木の固定用に応用した新製品「添え木結束クランプ」の販路開拓に力を入れる考えだ。
「フロントロアアーム」と呼ばれる部品を主に生産するワイテック石見工場(島根県邑南町中野)は、マツダの宇品工場(広島市)向けが主体。防府第1工場向けは全体の1割程度で、国塚昭雄工場長(56)は「稼働停止の影響は限定的。その他の車種の部品生産に人員を集めて対応したい」と話した。
マツダは2022年3月期で半導体不足による減産を10万台と見通し、今回の稼働停止は減産台数の計画範囲内としている。
自動車ドア枠用のゴム製密閉シールを製造するシンカー(浜田市長沢町)は、稼働停止の影響を含めマツダの減産計画により約300万円の減収を見込む。
生産や在庫の計画を立てにくい状況があり、片山清治社長(58)は「生産休止は今後も起こる可能性がある。長期化すれば影響は当然拡大する」と先行きを案じた。












