「田舎を守り抜く」と訴え続け、20年以上東奔西走した竹下亘衆院議員の政界引退に、島根2区の有権者は労をねぎらいつつ、一つの時代が終わったとの声も聞かれた。

 竹下氏が網の目を張り巡らした大票田の出雲市。演説中の竹下氏を目にしたことがあるという会社員大河内崇弘さん(38)=出雲市白枝町=は「人が多く人望の厚さを感じた」と振り返る。閣僚や派閥の領袖(りょうしゅう)を務めた実力者の後を受け継ぐ存在がいるのか不安だともいい「次も島根を深く考えてくれる人を」と望んだ。

 2度目の選挙となった2003年衆院選以降は、選挙区が県西部にも広がった。近年は病気療養のため、選挙区を細かく回ることができなくなったが、島根県立大4年の院内誠春さん(22)=浜田市原井町=は、闘病しながら政界で奮闘する姿が心に残っているとして「十分、貢献した」と話し、英語塾経営澄田佳奈子さん(44)=同市三隅町三隅=も「大変だっただろう」と察した。

 ただ、人口減少に歯止めがかからない現状に、ドローン撮影業三浦幹雄さん(70)=邑南町矢上=は、これから決まるであろう後継者に「県中部、西部をしっかり見てほしい」と注文した。

 竹下氏の原点である雲南市掛合町。兄の登・元首相の後を継いだ初陣の00年衆院選で遠出して応援したという農業田部光夫さん(83)=雲南市掛合町波多=は、長く続いた「竹下王国」の一区切りの時が来たことを感じ「世代交代の頃合いだったのでしょう」と感慨深く語った。