経済産業省などは8日、脱炭素化の技術開発に取り組む企業を支援する2兆円基金について、水素を燃料とする航空機や次世代船舶の開発の2事業に最大で計560億8千万円を配分する方針を有識者会議で示した。近く正式に決定し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募を始める。

 水素航空機は、欧州の航空機大手エアバスが2035年までに実用化する計画を発表し、部品などの技術開発が急務となっている。配分の主な内訳は、エンジンの重要部品で水素を安定的に燃やす燃焼器の開発に上限116億3千万円。マイナス253度の低温となる液化水素の貯蔵に耐える燃料タンクには上限48億5千万円を充てる。

 船舶分野では、30年代前半の商業運航を想定する水素燃料船の開発に上限210億円、28年までに運航を目指すアンモニア燃料船に上限119億円を配分する。

 基金の公募は配分金額が決まった事業から順次開始。最大3700億円を配分する水素の製造やサプライチェーン(供給網)構築の事業は既に公募期間を終え、審査の段階にある。経産省は洋上風力発電など他の事業についても、具体的な内容や金額の検討を進める。