「病院に残る者は死を覚悟せよという意味だと思いました」。2019年4月25日午後、福島県の医師遠藤清次(67)は東京高裁にいた。同県南相馬市小高区の住民らが原発事故で「故郷を奪われた」として、東京電力に損害賠償を求めた控訴審で証言するためだ。

 「3号機の爆発の映像がテレビで流れ(南相馬市立)総合病院の院長が職員全員を集めて『どういう状況か分からないが、とんでもないことが起こっている。これから先は避難するも病院に残るも、各自の判断で決めていい』と話しました」。遠藤...