2020年から解禁された高校野球の白スパイクが島根県内でも広まってきた。公式戦のスパイクは長年、黒色に限られただけに、球児には目新しさが魅力になっている。解禁の理由となった熱中症対策の効果は実感が乏しく、人気が続くかは見通せないが、15日に開幕した第103回全国高校野球選手権島根大会でも目を引きそうだ。 (取材班)
島根大会初日の1回戦で試合開始前に整列した松江東、隠岐の両チームとも、選手の足元は多くが白スパイクだった。
20年の選抜高校野球大会出場決定時に白スパイクで新調した平田の都田明日生選手(17)=3年=は「周囲が黒ということもあり、特別感がある」と誇らしそうに話す。部員の7割近くが黒スパイクを使う三刀屋の吉田修哉選手(15)=1年=も「周囲が白を使っていると、かっこいいなと感じることがある」と憧れ、次に買い替える時は白を買うつもりだ。
日本高校野球連盟は「高校野球用具の使用制限」というルールを改正し、これまで黒に限っていたスパイクの色に白を加えた。近年の気温上昇による熱中症対策が理由。白スパイクは黒スパイクと比べ、熱がこもりにくいという。20、21年度の2年間を移行期間と位置づけ、チームで色を統一するか、混合も認めるかなどを21年度中に検討する。
ところが、白スパイクによる暑さ軽減を球児たちが実感しているかと言えば、現実はそうでもない。白スパイクを履く立正大淞南の藤田大吾選手(17)=3年=は「正直なところ、暑さ対策になっているか、実感は湧かない」と苦笑いする。他の球児も「熱中症対策の意味はないが、かっこいい」との声が大勢。
解禁を受け、県内約30校にスパイクを販売する二協社(出雲市渡橋町)では、20年夏から店頭に白スパイクが並ぶ。白は汚れが目立ち、手入れが大変というデメリットがあるものの、夏の大会を前に球児の多くが白スパイクを買い求めた。
伊藤堅志社長(44)は「白スパイクを買う球児は徐々に増えている。多くは暑さ対策のメリットではなく、流行に乗っているという印象だ」と分析する。
新型コロナウイルスの影響で2年ぶりに開催される夏の甲子園。今夏の高校野球は、球児たちのプレーだけでなく、こうした変化に注目しながら観戦してみても良いかもしれない。













