日本百貨店協会が26日発表した今年上半期(1~6月)の全国百貨店売上高は1兆9924億円で、新型コロナウイルスが流行する以前の2019年上半期と既存店ベースで比較すると27・3%減少した。ブランド品や高級時計など富裕層向けの商品が好調な一方、衣料品は大きく落ち込んだままで、消費の二極化傾向が鮮明に表れた。

 20年上半期との比較では10・3%増えた。コロナ下の臨時休業や営業時間短縮で売り上げが急減した前年からは回復したものの、今年上半期も緊急事態宣言を受けて土日に生活必需品以外の売り場を閉めるなど、厳しい経営環境が続いた。

 商品別では、美術・宝飾・貴金属が20年上半期に比べて46・3%増と大幅に改善。富裕層を中心に高額消費が活発だった。「巣ごもり需要」で家電も28・4%増と堅調に推移し、コロナ前の19年の水準を上回った。

 一方、テレワークが普及して出勤機会が減ったことが影響、紳士服の売れ行きが低迷。衣料品全体でも20年上半期との比較で6・0%増にとどまり、19年の水準からは35・7%減だった。

 協会によると、百貨店各社はオンラインでの接客など低迷打開に向けた取り組みを展開。電子商取引(EC)市場は拡大しており、お中元や父の日などのギフト商戦で売り上げを伸ばした。

 6月単月の売上高は前年同月比1・6%減の3715億円で、4カ月ぶりにマイナスに転じた。東京や大阪など大都市の百貨店が0・4%増えたのに対し、地方は時短営業が前年以上に響いて6・5%減少した。