出雲市大社町杵築東、島根県立古代出雲歴史博物館で、「ダイコクさん」に焦点を当てたミニ企画展が開かれている。寺院では「大黒天」、神社では「大国主神(おおくにぬしのかみ)」と表記されるなど、さまざまな側面を持つ「ダイコクさん」を紹介している。2025年3月31日まで。
前後期で絵巻物や絵など17点の資料を展示する。
仏教系の「大黒天」は恐ろしい形相で、絶大な戦闘力と財宝を所持する黒い神。日本に伝来してから次第に穏やかな表情になったという。商業が活発になるにつれて、利益をもたらす神として信仰を集め、室町時代には、多様な姿を見せる。「六大黒曼荼羅(まんだら)」(16世紀)では、僧侶の身なりをした比丘(びく)大黒、俵を頭上に持ち上げる摩伽迦羅大黒女(まかからだいこくにょ)など6種の大黒が描かれている。
神道系の「大国さん」は江戸時代以降に描かれたものが多い。浮世絵にも登場し、地道に励む者は穏やかな暮らしができると、現代にも通じる道徳観を表しているという。岡宏三専門学芸員(58)は「仏教、神道系ともに福の神としての共通点があるダイコクさんの姿を見てほしい」と話した。
前後期で展示替えをする。前期は1月20日まで、後期は1月22日から3月31日まで。常設展の入場料(一般620円、大学生410円、小中高生200円)で観覧できる。
(佐藤一司)