新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、米子市中心部の飲食店に出している営業時間の短縮要請について、鳥取県は2日、予定通り3日で終えると発表した。対象区域内で新たな感染者が確認されておらず、飲食店経由の発生を抑制できたと判断したため。 (藤井俊行)
県と市は2日の協議で、市内飲食店で直近6日間、陽性者が出ていないことなどを踏まえ、感染拡大の波を抑えられたと分析。成果が得られたとして期限通り終えることで合意した。
再度、急拡大した場合について平井伸治知事は「時短要請などを躊躇(ちゅうちょ)なく出していく」と述べた。
県は7月21日、JR米子駅前と市繁華街を区域に、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請。2週間を期限とし、臨時休業も含め、応じた場合、日額最大20万円の協力金を用意した。
県によると、食品衛生法に基づく営業許可を取得した飲食店、喫茶店、カラオケ店など対象500店舗のうち、94%に当たる470店舗が時短営業や臨時休業で応じた。
午後8時以降に閉めていたものの、応じたかどうかの確認が取れないのが26店舗あり、残る4店舗は通常営業を続けた。
協議では、県西部で県外との往来に起因する感染者が散発的に確認されているとして、会話する場合のマスクの着用、換気の徹底など、飲食店に感染防止対策をあらためて呼び掛けることを確認した。
鳥取県安堵も客足回復危ぶむ
米子市中心部の飲食店を対象にした営業時間の短縮要請が予定通り終わることに、地元の業界関係者は通常営業に戻れると喜びつつ、新型コロナウイルス禍の収束にはほど遠い状況に客足の回復を危ぶんだ。
感染状況によっては期間延長の可能性があっただけに、繁華街にスナックを構え、応じた60代の女性経営者は安堵(あんど)。「開店を待ってくれている客がいる」と述べ、感染症対策をあらためて点検し4日夜からの再開に備えた。
米子保健所管内で飲食店経由の陽性者は出ないようになったものの、連日、職場などでの感染者は相次ぎ、状況は予断を許さない。鳥取県は新型コロナ対応の特別措置法に基づき、3日から16日まで、県内全域に不要不急の外出を控えるよう呼び掛ける。
例年であれば盆の書き入れ時を迎えるが、時短要請地域で3店舗を展開するかばはうすホールディングス(安来市安来町)は、4日以降も店舗によって夜遅くの営業は自粛する方針だ。
永田光本部長(47)は時短要請が解除されるとはいえ、人通りが戻らず、厳しい経営環境が続くと予想。山陰両県の飲食店で複数のクラスター(感染者集団)事例が発生したことを踏まえ「繁華街の飲食店は危ない印象を持たれているようだ。我慢するしかないが限界がある」と先行きを案じた。 (田淵浩平)