ドーパミンは人間の脳内で分泌される神経伝達物質の一種だ。「気持ちいい」といった感情に直結し、適度に分泌されている間は集中力が高まり、空腹感さえ忘れさせる。
一方、得られる快感に慣れると、感覚はまひし、同じ程度の快楽では満足できなくなる。「もっと、もっと」。より強い刺激を求める“ループ”に一度はまれば簡単に抜け出せない。意志ではあらがえず、家族らにも影響を及ぼす。それでも脳は快楽を求め続ける。
新聞は原則、実名報道だが、匿名でなければ語れない背景や事情を持つ人がいる。その声から社会の断面を見る「顔なき…声」。今回は島根県東部在住で、ギャンブル依存症に陥った50代男性が語った。
泣き叫ぶわが子
依存症の側に足を踏み入れた日をはっきりと覚えている。当時30歳。それまで...