「羅生門」の例を出すまでもなく、見る人によって物事の見え方は違う。戦争当事国はいずれもが自らの正義を訴える。どちらのチームのファンかによってアウトかセーフかが違って見える。恋をしている人にとって空は青く、仕事で疲れ果てている人にはそもそも空が見えない。つまり、世界は一様ではない。

 見るもの聞くものが新鮮な子どもにとって、世界はどのように見えているのだろう。自分もかつて子どもだったが、残念なことに記憶は薄れる一方だ。思...