人が〝罪〟を影のイメージになぞらえるのは、その姿が角度によって様変わりするからだろう。加害と被害の記憶のありようは、戦後76年を迎えた今もさまざまな形で問い直されている。

▼罪の質量

 錯綜(さくそう)した形で社会に根を張る差別意識をドラスチックに描いた長編「あなたが私を竹槍(やり)で突き殺す前に」で野間文芸新人賞を受賞した李龍徳。新作「石を黙らせて」(「群...