「飼い殺しにすることだけはやめてくれ」。鳥取城北高校(鳥取市西品治)男子バスケットボール部の監督に就任した2016年、選手集めに奔走する河上貴博(37)に向けられる視線や風当たりは厳しかった。選手を高校に送り出す中学の指導者も、ライバルであるはずの他の高校の指導者も一様にだ。
#(上)弱小チーム、就任10年で全国制覇
#(下)指導の軸は「力を貸すだけ」
大学時代の経験通用せず
優秀な選手が弱小の鳥取城北に進んだせいで、活躍する機会を得られず、脚光を浴びることなく3年間を終えるかもしれない。もったいないと思われても仕方がない状況だった。
大学バスケの強豪・拓殖大で主将を務めた経験も鳥取では通用しない。まずもって鳥取城北が弱かった。

勧誘に苦しむ一方、幸運もあった。監督に就任した頃に、...