2連覇を狙った前回大会は、ここで散った。ゴールボール女子の日本は、鬼門だった準々決勝を突破。先発3人は試合前、何かを祈るように抱き合った。「私の失点のせいで負けた」と5年前の責任を背負う欠端が、初出場の萩原の背中をぽんぽん、とたたく。「いつも通りやろうね」。ベテラン浦田も声をかけた。
励ましを受けた萩原が全4得点をたたき出し「貢献できてうれしい」と涙ぐんだ。相手の弱点との分析を受け、ゴール右隅を突く正確なショットでイスラエルを破った。
大会延期による再選考で、攻撃力を見込まれて代表入りした20歳だ。初挑戦の緊張に加え、4大会に出場したチームの精神的支柱、小宮正江に代わる選出は「得点で役割を果たさないといけない」と重圧も大きかった。
先輩たちがリオデジャネイロで味わった準々決勝での苦い思いを東京で晴らし、あと1勝でメダルに届く。準決勝は強敵トルコとの再戦で、1次リーグ初戦では自身の不調もあって大敗を喫した。「リベンジしたい」と言い切った新エースが、日に日に頼もしさを増している。