JR西日本は1日、公募増資などで最大2786億円の資金調達を実施すると発表した。新型コロナウイルス禍で2年連続の赤字が見込まれる中、財務体質を改善するとともに構造改革を進めることで中長期的な成長を目指すのが狙い。発行価格は今月13~15日のいずれかの日に決定するとしている。国鉄民営化後、JRグループで公募増資を行うのは初めてという。
現在の発行済み株式総数の3割弱に相当する最大約5200万株を新たに発行する。調達した資金は省力化などの構造改革や債務返済だけでなく、大阪駅や広島駅の周辺開発、山陽新幹線や北陸新幹線の車両製造、デジタル関連の設備投資にも充てる。
長谷川一明社長は大阪市で開いた記者会見で「事業運営に必要な資金は確保しているが、今後のリスクに耐えるためには、財務基盤の改善が早期に必要だ」と理由を説明した。また「(調達資金で)ポストコロナに向けた成長戦略につなげたい」とも話した。
JR西はコロナ禍の長期化で主力の鉄道事業や流通事業で苦戦が続いている。2021年3月期連結決算は純損益が2332億円の赤字(前期は893億円の黒字)で、22年3月期も赤字を想定している。