その一戸建て住宅は、隣接するマンションの敷地から4~5メートル高い位置に建っていた。住宅の土台に当たる段差の部分は、コンクリートで造られた「擁壁」で補強されていた。

 擁壁ができたのは今から57年前の1968年。住宅のある東京都杉並区が異変を察知したのは、1984年、今から41年前のことだ。擁壁に亀裂が入っていた。

 杉並区は、所有者に対して文書や対面でたびたび修復を指導していた。ただ、モルタル補修が数回行われただ...