初夏のリスボン郊外。大河テージョ川沿いにトマト畑が地平線まで広がっている。農業指導員ヌーノ・サントス(42)は、複数の農家に翌日の作業アドバイスをするため毎日のように電話をかける。「水をまく時間の間隔をもう少し空けた方がいいね」

 サントスが見ているのは、最適な水やりのタイミングを人工知能(AI)が提案するトマト栽培支援アプリだ。長年の栽培経験があるサントスは、自分の勘と最先端のAI技術を使い、トマトの「声」を聞いている。

 8月下旬。今年も真っ赤...