短歌 宮里勝子選

東京の夜景の光の一粒に友の走らすタクシーがある      益 田 〓(木ヘンに漆のツクリ)松 友香

  【評】目のつけどころが良い。東京の夜景は果てしなく瞬くが、その中の一点は友のタクシーの灯りであると。その一粒の光の例えによって読者にも一気に近づく。大から 小への転換があざやか。

小さくて大きな遺品わが母の戦中戦後をつづりし短歌       大 田 山口かりん

  【評】一般的にはささいなものかもしれないが、残された歌を読むたびに当時のお母さんが立ち上がる。戦中戦...