「書く」ことは、新聞記者の日常だ。走り書きで後から読むのに苦労する取材ノートのメモも、時間に追われてパソコンのキーをたたきつけるように仕上げる画面上の文章もそう。毎日がその繰り返しだ。
人工知能(AI)を使って、音声データから秒単位で文章を作ることができる時代。書くという作業の概念も変わろうかという中で、思う。書くことで形になる文字や言葉。いわば情報伝達の記号であり、手段だが、それだけではない。
「日記でもメモでもいい。普段の生活の中で、手書きを大事にしてほしい」。先日、米子市であった書道イベントで講師を務めた書家森田尾山(びざん)さん(84)=米子市淀江町=の熱っぽい語りが耳に残る。
イベントは「みんなで書きま『書(しょ)』」と題し、市内のNPO法人地域活動支援センターおおぞらが開催。約50人が縦3メートル、横6メートルの和紙を囲み、大筆を振るって夢や目標、好きな言葉の「寄せ書き」を完成させた。3月2~5日、米子コンベンションセンターで展示される。
「思うだけじゃなくて、思いを込めて手で書くと、やろうという気持ちになる。夢に向かって踏み出す第一歩」と森田さん。「二刀流」で米大リーグを席巻する大谷翔平選手が高校時代に書いたという「目標達成シート」が好例だろう。言葉と共に、それに宿る力を生む書くという作業。巨大和紙の中で躍った子どもたちの力強い筆致が輝いて見えた。(吉)













