―現在の業況を教えてください。
自動車の電装化やスマートフォン、人工知能(AI)サーバーの普及により、主力製品の積層セラミックコンデンサーの需要は堅調に推移しています。ただ、急速に進化していく中で、常に技術力や商品力を磨き続けなければ生き残ってはいけません。作業の改善や生産期間の短縮などを集中的に学んだ社内資格「改善士」や、AIを専門的に学ぶデジタル人材の育成に力を入れています。今後も世界最先端の製品を作る企業として、組織全体で成長を目指します。
―4月には出雲市斐川町直江で新工場が稼働します。
生産拠点として受注に応えるためだけではなく、地域の企業が活用できる場所にしたいと考えています。社内で起きた事故を題材に、仮想現実(VR)ゴーグルなどの専用装置を使って疑似体験してもらう講座「危険体感プログラム」を展開する計画です。地域全体で安全な職場環境づくりについて考えるきっかけとなり、一人ひとりの安全意識の向上につながればと考えています。
―人材定着のために工夫していることはありますか。
新卒者の定着率は97%と比較的辞める人が少ない企業だと自負しています。背景にあるのが教育への注力です。職種・階層別に設定した多様な教育プログラムで、社員の成長を後押ししています。全従業員を対象にした職場環境に対する満足度や課題などの調査を毎年実施しています。従業員が意見や考えを発信できる環境を整え、社内の風通しをより良くしていきたいと考えています。
―安来市に新設する工場について、地元では不安の声もあります。
ご不安の声は真摯に受け止めています。私たちは新工場を通じ、地域経済の発展に貢献し、山陰を離れた若者が地元に戻るきっかけとなることを目指しています。そのためには学生の頃に地域企業を知る機会を持つことが重要だと思っており、行政や賛同いただける企業の皆さんと連携し、山陰で働く魅力やものづくりへの興味・関心を育む出前授業などに取り組みたいと考えています。

目まぐるしく変化する時代の中で、部品メーカーとしてライバル企業と競争しながら地域の発展に貢献していくためには、「いま」を自らの力で変えていこうとする人の存在が欠かせません。自分の意志で目標や夢を描き、仲間とともに行動する。その積み重ねが新たな価値を生み出します。将来、山陰地域を支える存在へと成長していく皆さんを、心から応援しています。

谷口育男=兵庫県伊丹市出身(61歳)2022年に現職に就任。
1987年に株式会社村田製作所に入社。金沢村田製作所第1製造部長、村田製作所生産本部生販システム部長兼同本部モノづくり強化推進部長を歴任。趣味はジョギングで、週末には出雲市内を約10キロ走り、年に1回はフルマラソンにも挑戦するなど、健康維持と心身のリフレッシュに努めている。













