また「新作」が読めるとは。うれしい想定外だ。ノーベル賞作家・大江健三郎の2023年3月の逝去を取り上げたのは、本連載の初回だった。その大江の未発表小説が発見されたのだ。亡き作家から遅れて届いた手紙のような作品に、ファンは驚喜したことだろう。

ケアの死角提起

 発見されたのは、東京大在学中の下宿先の女主人のもとに残されていた生原稿の2作だ。「群像」4...